【授業概要】
・テーマ
内部労働市場に焦点を当てた現代資本主義の分析
・ねらい
現在,非正規雇用の雇い止めなどが問題にされていますが,労働者が昇給や身分の安定性に差がある正社員と非正規雇用という2つの層に分れたのは内部労働市場が成立したからです。したがって,非正規雇用の増大,雇用の流動化に伴って終身雇用や年功序列型賃金型賃金に疑問が投げかけられるようになったのは当然のことです。本講では内部労働市場という視点から日本経済の特殊性や現在の課題,将来の方向性を考察します。
・目標
内部労働市場の仕組み,正規雇用と非正規雇用との位置づけ,日本の特徴。
・キーワード
現代資本主義,内部労働市場,賃金,能力主義,非正規雇用
【授業計画】
・授業の方法
毎週のテキスト分担者がして,内容の要約と論点を疑問点とともに報告した後,疑問点を1つひとつ議論してゆく。
・日程
まず現在の日本資本主義を分析した啓蒙書を取り上げ,現在の日本経済に関するイメージを掴んでもらう。
その後,内部労働市場に関する専門書を取り上げる。
年2回,東北学院大,宮城学院女子大と合同ゼミを行なう。
日程 |
テーマ |
報告者 |
質問等 |
1月31日 |
個人報告 |
佐藤/周 |
・佐藤「Yゼミの軌跡」−−階層は後書き,本文10枚以上書くこと
・周「年度の総括」。大学院入試の再提出した研究計画では中国における労働者に焦点を当てていたが,日本で研究する以上,まず日本のことを抑えたい。また中国ではブルーカラーホワイトカラーの中間形態も出ているので小池「知的熟練」論の観点から考察してみたい。 |
12月17日 |
小越第4章 |
佐藤 |
・企業が労働市場の「規制緩和」と「規制強化」を同時に要求する矛盾とは?
(企業の雇用責任を放棄し,国家や産業政策,社会一般に転化とは具体的にどのような政策か?)
・査定の主観性を根拠に成果主義化によって労働者の企業従属性が高まる,とは?
・日本型年俸給の日本的型とは? |
12月10日 |
小越第3章第1節 |
佐藤 |
・年功賃金と家族賃金思想
・職務給=労働力の使用価値の値段という批判あるいは職務評価の非科学性という批判について
・評価の職務関連への限定と職務範囲の大括化は相反しないか?
・著者は森らの「年功賃金=家族賃金」説には賛同していないのか?--生活給≠性差別賃金と明言 |
11月26日 |
ベーシック・インカムをめぐってディベート |
佐藤/周 |
周さんはベーシック・インカム反対論への反論を調べてきた。
佐藤君はその上での疑問点を挙げてきた。 |
11月19日 |
ベーシック・インカムをめぐってディベート |
佐藤/周 |
財源問題;・社会保障費を全てベーシック・インカムに回せるわけではない−−日本の国民負担率は国際的に観てどうか?
・労働と所得の関係−−今でも完全に対応しているわけではないのでは?
・社会主義との違いは?−−全く逆のイメージ
・導入の理由=現行制度の問題点が十分説明されているか? |
11月12日 |
山森亮『ベーシック・インカム入門』第3章 |
佐藤 |
・ネグリの情動労働論とベーシック・インカムとの関係
・「生活自体が労働」について−−犯罪は^^?,日本はともかく中国14億人にお金払うのは無理 |
10月29日 |
小越第1章第4節〜 |
佐藤 |
・終身雇用,慣行説と制度説の違いは?−−法的根拠たり得るか
・慣行的制度説と制度説の違いは?【宿題】
・出向,転籍は「広域終身雇用」ではない,という主張は,出向等の雇用調整なくして終身雇用,長期勤続が成立しうるという理解か?
・「転籍」は終身雇用の転換?
・終身雇用は労働市場の二重構造の関係 |
10月8日 |
テーマ報告 |
佐藤 |
小越洋之介『終身雇用と年功賃金の転換』第一章「終身雇用・年功賃金をめぐる諸説の検討」第一〜三節
著者は諸説を批判して何を導こうとしているのか |
9月29日 |
後期の打合せ |
− |
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7月23日 |
研究計画 |
周 |
・研究対象が日系企業の労働環境では広すぎないか?
・「中国人自身の外資系企業に関心のほとんどはホワイトカラー」とあるが具体的にはどういうことか?−−社会主義時代にはホワイトカラーという概念がなかった(昔の上司は絶対的権威)。外資系参入後はスレとレスと昇進。
・なぜホワイトカラーの方に関心があるのか?−−ブルーカラーは前からあるから。 |
7月16日 |
合同ゼミの打合せ |
- |
- |
7月9日 |
研究計画 |
周 |
・問題は賃金の上昇だけか?
・日本で研究する意義は? |
合同ゼミ基調報告 |
佐藤 |
・事実問題について(門倉本の受け売りになっている) |
7月2日 |
--- |
周 |
進路について |
6月25日 |
合同ゼミ |
佐藤 |
合同ゼミでの議論の進め方,3ラウンド制
・「結婚格差」の差し当たりの定義でも示さないと議論しにくいのでは? |
研究計画 |
周 |
研究テーマ,問題意識について。 |
6月18日 |
第2章前半 |
周 |
今日はいろいろ質問がある
・自分の経験では,「大企業は新卒採用が,中小企業は中途採用が多い」−−なぜか?
・「やや平等な異動」と「慣行としての異動」はどのように異なるか?
・養成工と臨時工の違いetc
・合同ゼミのテーマについて
|
6月11日 |
第1章の報告やり直し |
周 |
・合同ゼミのテーマについて 「結婚格差というテーマが挙っています.僕の考えた『中国経済』は堅いって」(S)
・知的熟練の4つのレベル 「レベル2,3が生産現場の労働者」とまとめているが,レベル1,4は?
・「報告は良くできているが、疑問点を挙げた方が議論が深まるよ」(S) |
6月4日 |
第1章「知的熟練」 |
周 |
大学院入試のことも考え,今日から小池和男『仕事の経済学』
・要約を丁寧に! |
5月28日 |
第5章後半 |
周 |
佐藤君参加。
・額面割当増資とは
・企業集団間の協調体制 |
卒論構想 |
佐藤 |
卒業論文について
・「同一価値労働同一賃金原則」および北欧スウェーデンの状況 |
合同ゼミ |
|
「中国経済とバブルの崩壊」「市場社会主義」 |
5月21日 |
第5章前半 |
周 |
久しぶりに佐藤君参加。
・証券恐慌とは
・「安定株主工作」
・安定化率とは
・資本の自由化がもたらした産業再編成とは |
5月14日 |
第4章 |
周 |
・ |
4月30日 |
第3章 |
周 |
・財閥解体後の,「昔の持ち合い」と「現在の持ち合い」との違い;金融機関を含む3者間の持ち合いになった。 |
4月23日 |
第2章 |
周 |
財閥解体 |
4月16日 |
奥村第1章 |
周 |
財閥と戦後の企業集団との違い |
4月9日 |
オリエンテーション
(アドバイザー懇談会) |
− |
・成績表の配布
・テキストの選定(周さんが日本の企業間関係に関心があるとのことで,奥村宏『法人資本主義の構造』(教養文庫)をテキストに決めた) |
【学習の方法】
・受講のあり方
まず出席,次いでどんな小さなことでも良いのでテキストに関する疑問点を挙げ発言することを求める。
・予習のあり方
テキストの該当箇所を読み,論点と疑問点を整理しておくこと。
・復習のあり方
時間内に答えられなかった質問事項は次週以降必ずフォローアップすること。
【成績評価の方法】
・成績評価基準
レジュメ,レポート,出欠状況。
・方法
総合判断する。
【テキスト】
相談して決める。
【科目の位置付け】
経済原論で学んだ資本主義経済について,その現状を内部労働市場という視角から考察する科目ですので,経済原論を履修しておくことが望ましい。
【その他】
・オフィス・アワー
月7-8校時
・担当教員の専門分野
経済原論
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