『その前夜』におけるギリシャ・モチーフ

Last Updated Feb. 19, 2013


@内容

長篇小説『その前夜』には,興味深いことに「ギリシア」に関連する語句や人名等が頻出します。
本論考ではこれまで看過されてきた,作中に散りばめられた《ギリシャ・モチーフ》の存在を詳細に指摘するとともに,『その前夜』の作品世界が古代英雄叙事詩の世界を背景に「ヘレネ悲劇」とのアナロジーを呈していることを論証しました。
さらに,「闘争」「謎」「異国趣味」といったロマン主義好みのモチーフとも相俟って劇的緊張感が高められていることを明らかにした上で,女主人公エレーナが「宿命の女」の系列に連なる可能性を示しました。
 (初出:「Rusistika」V。1988年12月)

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