2010年7月25日――8月20日 好酸球性肺炎入院記

突然、好酸球性肺炎で入院(検査入院1週間、治療入院2週間)することになった。その間のことを書いておく。病気になると、例えば「好酸球性肺炎とは何か」など病気自体については、インターネット上に数多く書かれ紹介されているが、どんな入院暮らしが待ちかまえるのかなどは、あまりない。
 それゆえ、不安が大きかったが、インターネット上に「好酸球性肺炎入院記」という女性のブログ記事があり、薬の服用や退院後などに関しても大いに参考になった。そこで、私のささやかな体験も書いておこう、と思う。



 6月の定期健康診断で、右肺に異常な影が見つかり、7月16日に山形県立中央病院で精密検査を受ける。その際も、やはり異常影が見つかり、20日にCTをとり、21日にサルコイ・ドーシスの疑いと診断された。

 ただちに、山大病院に行くことを勧められる。自覚していないが症状の程度がかなり重いらしい。山大病院の阿部修一助教の診断でも、検査入院を勧められる。



 7月25日に山大病院に1週間の予定で検査入院した(主治医A医師、Y医師、N医師、7階西771号室)。個室で、西蔵王の山々や山形市街が眺められ気持ちがいい。個室料が取られるが、やはり個室が一番。
 7月26日に肺の内視鏡検査を受ける。その際、肺胞に生理食塩液を注入し(肺胞洗浄液検査という)、細胞の一部をカットする(肺生検)などを行った。「これはたまらん。本当に苦しい」。わずかに血痰が出る。40分くらいだが、この検査が入院生活で肉体的には一番きつかった。検査後はただ、横たわるだけ。
 27・28日と血液検査・肺胞洗浄液検査の結果により、サルコイ・ドーシスではなく、「好酸球性肺炎」ではないかと診断さる。



 8月4日 夕方に細胞検査(肺生検)の結果が出、肺ガンではなく好酸球性肺炎と診断される。肺ガンではなかったのは本当に良かった。肺機能検査によれば、肺炎により、肺が58パーセントしか機能していないという。タバコをのまないので、肺が健康だったのが幸いして、肺機能58パーセントでも頑張れたのであろう。
そこで、翌5日よりもう1週間、入院し、プレドニゾロンの投与(経口服用)を受けることになった。プレドニゾロンは副腎皮質ホルモンで、大変効くが副作用が大きい。そのために、大量服用の際は入院した方が良いという。また、一端服用すると、序々に減らす必要があり、6箇月は服用するだろうという。そのために、副作用防止の薬も服用することになるという。



                治療入院     


8月5日(木) 治療入院1日目(7階西771号室)

プレドニゾロン50mg(朝食後25mg<5mg×5錠>、昼食後25mg<5錠>、バクタという免疫力を高める薬1錠、胃薬1錠)を服用。プレドニゾロンの服用によって、夜は、不眠などの副作用が出やすいので、朝食後と昼食後に服用することになった。副作用(主に糖尿病など)の危険性を教えられ、砂糖入りのコーヒー飲料(血糖値を急激に高めるらしい)を止められた。コーヒー好きの僕には大変つらい。
 3度の食後2時間後に血糖値を測定 136位

 

8月6日(金) 入院2日目 

プレドニゾロン50mg(朝食後25mg、昼食後25mg、バクタ1錠、胃薬1錠、以下バクタなどは、ここでは、たいした薬ではないので省略)
 食後2時間後に血糖値を測定 136位
 午後(15時頃)にレントゲンの撮影あり。
 夕方、七時頃、阿部医師とレントゲンを確認、影の一部が消えていた。
 薬の効き目は覿面である。恐ろしいほど効いている。
 プレドニゾロン50mgという量は非常に多いらしい。そこで、朝25mg、昼25mgの2回に分けて服用。
看護士たちが花笠まつりに参加。記念写真を求められる。翌日、その写真を見たが、自分はずいぶん憔悴した姿だ。


8月7日(土) 入院3日目

朝食前の血糖値が69で、低すぎたが、食後は136でOK。感染しやすいので、マスクをして外出。
 プレドニゾロン50mg(朝食後25mg、昼食後25mg)を服用した。


8月8日(日) 入院4日目

今日も、朝食前の血糖値が69で、低すぎた。どうも、薬のせいで血糖値の調整がうまくいかないのか。普通は、プレドニゾロンの副作用で高血糖値になるらしいのだが。
 オープンキャンパスで、模擬講義「ジブリ作品と宗教学――ナウシカ・トトロ・千」を行うために外出。久しぶりの外出は心おどるように楽しい。だが、感染症の怖さを根本医者から言われ、模擬講義の方はあまり乗り気になれない。マスクをして大学へ。でも、200人の聴衆(150人の教室で、立ち見状態)の前では、うまくやれた。しかし、終わると疲労困憊。入院による体力の衰えのものすごさを知らされる。普段は50分の講義等なんでもないのに。
 プレドニゾロン50mg(朝食後25mg、昼食後25mg)を服用した。


8月9日(月) 入院5日目

前日の疲れがひどく残る。
 今日も、朝食前の血糖値が60(朝食後は140)で、低すぎた。薬のせいで本当に、血糖値の調整がうまくいっていないのかもしれない。明日からは、朝起きたら、すぐに少しカロリーのあるやつを食べよう。担当医のN医師によれば、もともと朝は低血糖ではないかといわれる。
 昼食前の血糖値は88であった。
 プレドニゾロン50mg(朝食後25mg、昼食後25mg)を服用した。


8月10日(火) 入院6日目

 いよいよ明後日からプレドニゾロン40mg(朝食後20mg、昼食後20mg)服用になる。正確にいえば明日レントゲンをとって、症状の具合を見てからだの話だが、薬が効いているのは間違いない。一方で、40mgに減らすことで、どうなるか、少し不安である。たった10mgだが大違いらしい。減らすと症状がひどくなる場合もあるというのだ。
 プレドニゾロン50mg(朝食後25mg、昼食後25mg)を服用した。

8月11日(水) 入院7日目

6時半 採血 血糖値67(朝食後は血糖値 138)
 8時半 レントゲン撮影 8時15分だと1番に検査が終わる。
 プレドニゾロン50mg(朝食後25mg、昼食後25mg)を服用した。
 午後、外出。5時に帰院。
 帰院後、今日の検査結果が報告された。
 血液中の好酸球指数が1パーセントになる(入院以前は20パーセント弱)、すなわち正常値。
 レントゲンに写る肺の影も消えた。本当に薬が効いている。明日から、プレドニゾロンを40mgに減らすことになる。また、薬の副作用の骨粗鬆症対策の薬も服用をすすめらる。
 しかし、薬量を減らすとぶりかえす恐れがあり経過をみるために、入院を8月20日にまで延長。


8月12日(木) 入院8日目

 朝食前の血糖値は86(ラスク<お菓子>2枚のおかげだろう)
 プレドニゾロンの副作用の骨粗鬆症(可能性だが)対策の薬も服用する予定になったが、それは顎の骨を腐らせる副作用がある薬らしく、まず歯科医での検診を指示さる。しかたなく、歯科医に歯を診てもらう。歯石除去と虫歯を治療された。歯科検診は昼食前に終わったがハラペコ。血糖値が気になる。やはり昼食前の血糖値は76。ラスクを食べればよかったか。
 今日から、プレドニゾロン40mg(朝食後20mg、昼食後20mg)を服用した。
 菅原清華さんが見舞いに来る。ありがたい。



8月13日(金) 入院9日目

 朝食前の血糖値は69位
 朝食後125。
 薬剤師によれば、プレドニゾロンを減らして2日後で体調がよければ、薬は効いているとのこと。次は30mgにするという。
 プレドニゾロン40mg(朝食後20mg、昼食後20mg)を服用した。



8月14日(土) 入院10日目

今日から、血糖値の検査なし。私には糖尿病の気はないということだ。10時から12時30分まで外出(研究室へ)。研究室では、咳がでそうになる。研究室のホコリが肺に良くないのかもしれない。
 うどん屋(山形ではめずらしい)で天ざるうどんを食べる。久しぶりの外食も大変おいしい。プレドニゾロンの副作用の一つに食欲を増進させることがあり、病院食もおいしいのだが。
 プレドニゾロン40mg(朝食後20mg、昼食後20mg)を服用した。



8月15日(日) 入院11日目

敗戦記念日。山形新聞に寄稿した書評が掲載された。
 朝の回診で、N医師医師と相談し、明日、午後のレントゲン撮影、血液検査の具合で、プレドニゾロンを30mgにすることになった。人によるが30mgを超える量は重篤な副作用が起こりやすいので、減らせるのはよいことだ。
 副作用の一つは食欲がでることで、本当に腹が空く。学生時代のようだ。今日から、運動(階段昇降)量を増やすことにした。
 プレドニゾロン40mg(朝食後20mg、昼食後20mg)を服用。



8月16日(月) 入院12日目

1時30分に採血。
 2時にレントゲン撮影。
 朝食も昼食もおいしい。いつも腹がすいている。これでは太るはずだ。
 プレドニゾロン40mg(朝食後20mg、昼食後20mg)を服用。
 レントゲンの分析などから、明日からは、プレドニゾロンを30mg服用にするという。プレドニゾロンは魔法の薬だが、副作用が怖い。早く服用をやめたいものだ。
 田中大輔君が見舞いにくる。



8月17日(月) 入院13日目

プレドニゾロン30mg(朝食後15mg、昼食後15mg)を服用。
 今日から、また10mg減らした。その影響はどうだろうか。少し不安。経過が順調なので20日に退院することになった。



8月18日(火) 入院14日目

 朝起きると、すぐにボナロン35mgを服用。ボナロンは骨粗鬆予防の薬で、プレドニゾロンの長期服用者は飲む必要があるという。吸収がしにくいのと、消化器官を荒らしやすいので、特別の服用の仕方がある。すなわち、起床後すぐに180mlの水と一緒に飲み、その後、いすに座って、背筋を伸ばして30分座るのだ。消化器に薬がふれずよいらしい。これから、毎週、これをやるのはつらい。
 午前中から外出。久しぶりの外食。そばはおいしい。
 山形美術館の親鸞展ギャラリートークのイメージトレイニングにゆく。4時に帰院。本当に疲れる。
 プレドニゾロン30mg(朝食後15mg、昼食後15mg)を服用。



8月19日(水) 入院15日目

 昨日の外出のせいか、疲れている。微熱がある。プレドニゾロンの副作用のせいで、免疫力がへるらしい。レントゲン撮影と血液検査あり。
 それらにより、異常がないので、明日退院となり、25日に外来でくることになる。
 水原先生が見舞いにくる。
 プレドニゾロン30mg(朝食後15mg、昼食後15mg)を服用。
 山大病院の皆様ありがとう。



8月20日(木) 退院

 退院は午前10時。
 プレドニゾロン30mg(朝食後15mg、昼食後15mg)を服用。
 これから週1回の通院だ。



以上で入院記を終える。