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「日本外交論演習」の記録
2023年度期末論文

 

文責:松本邦彦
(増築:2025年07月22日(火))

◎期末論文題目リスト(&目標規定文)
《4年生》
・「地域おこし協力隊の現状と課題〜地域住民と協力隊の関係に着目して〜」
現代の日本においては、少子高齢化や過疎化による地域の担い手不足が課題とされており、それらを解決する方法の1 つとして、日本では2009 年より「地域おこし協力隊」という事業が導入されている。
 この事業は、都市地域に住む者が少子高齢化や過疎化の進行する地域に住民票を異動することを必要とするため、地域の活性化だけでなく、人口、担い手の増加も期待される事業となっている。
  その一方で、協力隊員と地域住民、行政のミスマッチや活動目的等に関して異なる認識を抱く等によって、トラブルが生じてしまう事例が多く報告されている。 中にはそのトラブルを要因として、予定していた協力隊の任期よりも早くに退任して他地域に移住してしまう事例もあり、事業におけるこのような課題が 2019 年ごろから問題視されている。
 そのような状況の中で総務省は、2019年度に「おためし地域おこし協力隊」、2021年度に「地域プ ロジェクトマネージャー」の2つの事業を開始し、ミスマッチの防止や協力隊員、地域住民、行政の三者間の調整を行うことによってトラブルの発生の回避や、 プロジェクトをスムーズに進められることを目指した。
 本稿では、実際これら2つの事業には浸透率が少ないことや周知度が低い等の課題があるものの、改善により更に有効性の高まりが期待できることを結論とする。

・「避難所における女性と子供に対する暴力被害の防止策について〜避難民による共助の観点から〜」
災害時には、急激な環境・情勢の変化によって犯罪やその他の問題行為、体調の悪化といった二次被害が発生する。二次被害の中でも女性や子供に対する暴力・性被害は1995 年の阪神・淡路大震災時から問題となっており、警察や支援団体に多くの相談や被害の申告が寄せられている。この問題は2011 年の東日本大震災や2016 年の熊本地震においても存在していることが先行研究や警察等の報告によって明らかにされており、20 年ちかく解決に至らないことからも災害時の重要な課題であると考える。特に避難所においては、プライバシーを守ることが難しい環境や他に行き場がないことが相まって被害が起きやすく、被害者も声をあげにくい。
 以上のことから本稿では、避難所における女性と子供に対する暴力被害を避難民同士の共助によって防ぐことができないかを検討する。そして結論として、暴力問題の解決のためには、公助意識の向上と被害を申告しやすい環境の整備が重要であることが分かった。

・「男性の育児休業取得推進について」
 2023 年3 月、政府は、男性の育児休業取得率を2025 年度までに50%、2030 年度までに80%へと大幅に引き上げることを表明した。しかし、2023 年7 月に厚生労働省が公表した「令和4 年度雇用均等基本調査」によると、男性の育児休業取得率は、過去最高の数値ではあるものの約17%と大幅な低水準を記録している状況である。本稿では、男性の育児休業取得率が低い原因および取得率引き上げのための打開策を探究した。その結果、男性の育児休業取得に対する意識が低いことと育児休業に対する職場の否定的雰囲気の2 つが低水準である原因と判明した。さらにその打開策として、日本版パパ・クオータ制の導入、産後パパ育休(出生時育児休業)の優遇化、中小企業での代替要員の確保策といった打開策が有望であるといった結論を得た。

・「小選挙区比例代表並立制下における自民党の人事慣行」
自民党の中選挙区制下の人事は、佐藤誠三郎・松崎哲久の『自民党政権』において、詳細に分析された。佐藤・松崎によると、自民党の人事慣行は、派閥との関連で派閥勢力比型、派閥代表型、全員参加型のタイプが存在する。また議員のキャリアパスが制度化され、シニオリティ・ルールが確立した。
  本稿では選挙制度改革以降の自民党の人事慣行を調査する。具体的には、小選挙区比例代表並立制が初めて導入された1996 年の衆議院選挙後に組閣した橋本内閣から岸田内閣までを対象に上記の人事慣行が確認されるのかを分析する。調査の結果、以下のことがわかった。派閥勢力比 型とシニオリティ・ルールに変化が生じている。派閥勢力比型では、小泉内閣以降、派閥の規模に合致しない閣僚人事が行われた。またシニオリティ・ルールは 抜擢人事によって、議員間における処遇の差が生じている。

・「シンギュラリティと日本社会〜最新技術は日本をどう変えるか〜」
 社会が最新技術によって目まぐるしく変わり、シンギュラリティが刻一刻と近づいているのを実感しつつある中、2022 年11 月、アメリカのOpenAI 社は「ChatGPT」を公開した。生成AI を世に知らしめたそのチャットボットは、過去に類を見ない高精度な文章の作成技術により瞬く間に注目を集め、わずか2 か月でユーザーは1 億人を突破し、AI 技術の進化を世界中が認識することとなった。
  本論文はChatGPT の仕組みを明らかにし、その特徴を分析することで、将来にわたる人類とAI との共存のあり方を提案することを目的としている。AI の歴史を紐解いていきつつAI に起因する問題について考える。その後、日本は近年登場したChatGPT のような生成AI をどのように位置づけており、これまでどう対応してきたかを確認する。そして結論として、AI に対する日本政府の対応への考察と、「考える」AI の開発に伴う危険性の考察を行う。今後はどのような対応があるか、また「考える」AI との共存は可能かどうかについて、シンギュラリティの観点から正しく「考える」AIの危険性とAI による社会的利益の実現を両立していく必要があるとの結論を得た。
《3年生》
・「日本の子どもの貧困と課題について」
 日本では、相対的貧困率と言われる一定基準(貧困線)を満たしていない等価可処分所得しか得ていない者の割合1980 年代から上昇傾向にある。その中でも特に、18 歳未満の子どもの貧困が問題となっている。そうした子どもたちは、経済的な理由などから教育機会に乏しくなり、地域や社会から孤立し、医療・食事・進学といった面で不利な状況に置かれてしまうことが多く、将来も貧困から抜け出せないことが懸念される状況にあると報告されている。
 本論では、日本における子どもの貧困の現状や課題について明らかにし、子供の貧困をなくすための解決策として、子育て世帯への経済的な支援、教育費の無償化、現金・現物給付、親への精神的支援などが必要であることを結論づけた。

・「脱原発のための火力発電と再生可能エネルギーの利用について」
 2011 年3 月、東日本大震災による福島第一原発の事故によって原子力発電の問題が明らかになった。それでもなお政府は原子力発電の再稼働を計画しており、現在も各地 の原子力発電所が再稼働している。しかし原子力発電は問題点として、事故による被曝や環境汚染などの危険性、放射性廃棄物の処分場所がないことなどが挙げ られる。そのため脱原発は必要なのだ。
 本論では、日本における脱原発の実現のために、火力発電による環境汚染や化石燃料の枯渇の可能性などの問 題点をもう一度見直し、火力発電を中心とし、太陽光発電、水力発電などの再生可能エネルギーを活用した発電について検討した結果、これからの日本の発電に ついて、現時点では火力発電に頼らざるを得ないという結論にいたった。 
・「若者の貧困と住宅政策の必要性」
  正規雇用の拡大、ブラック企業の拡大から起こる「ワーキングプア問題」のように、現代の若者は低賃金、低所得状態に陥りやす い状態にある。実際にジニ係数や相対的貧困率は高まっており、若者の生活困窮は深刻な問題となっている。しかし、このような現状でも若者の貧困に対する支 援策は極めて乏しい状態にある。現代の日本の福祉制度は、一部の高齢者や障害者、児童中心であり、さらに厳しい審査を通らなければこれらの支援を受けるこ とが出来ない。
 このような若者の現状を救うために、今日本に必要なものは住宅政策の充実であると考える。実際に、公的な低家賃住宅が多い国ほど、若者の世帯形成率は高いということが分かっている。
 以上のことから、日本の住宅政策の現状、また海外の住宅政策の例を踏まえて考察をおこなった結果、現在の若者に必要な住宅政策は住居手当の充実であるとの結論を得た。


《以上です》