専門基礎演習II(後期)
 Intermediate Seminar U
 担当教員:安田 均(YASUDA Hitoshi)
 担当教員の所属:人文学部法経政策学科
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:演習
【授業概要】
・テーマ
ベーシック・インカム
・ねらい
政権交代により子供手当や農家の個別所得補償など「給付」型政策が注目を浴びています。しかし,既に生活保護や失業手当,児童手当など「給付」は日本に限らず実行されていました。今日世界的に注目を浴びているのは,そういった個別の給付ではなく,基礎所得の保障,ベーシック・インカムです。ベーシック・インカムは従来の給付とどこが違うのでしょうか。なぜ注目を浴びるに至ったのでしょうか。ベーシック・インカムに耳目が集まる資本主義の現在を探るのが狙いです。
・目標
1)ベーシック・インカムの仕組みと思想を学ぶ,2)従来の福祉政策,あるいは福祉国家論との関係を調べる。
・キーワード
ベーシック・インカム,アンペイドワーク,福祉国家,ワークフェア

【授業計画】
・授業の方法
1)テキストの輪読,報告,討論。2)従来型の福祉政策について調査,報告。
・日程
10-11月 ベーシック・インカムの仕組み
12月 従来の取り組み(アンペイドワーク,給付型税額控除,ワークフェア)との関係
1月 まとめ
開催日 取り上げた箇所 論   点
1月17日予定 ・BIのどこをどう変えれば実現(受容)可能か?,変えられるのか?,あるいは現行社会保障制度のどこを修正し,BIの問題提起に答えるのか?
12月20日 小沢修司「『持続可能な福祉社会』とベーシック・インカム」(佐藤) ・比例課税だと所得の少ない人の負担では?
なぜ比例課税を主張しているのか?
・前の論文と異なるところはどこか?−−財源に詳しい,反批判が詳しい。
・現在の社会保障(「所得保障の在り方に関する懇談会」報告書)ではなぜ持続可能ではないのか?−−1)給付抑制と負担増という展望しか示せないから。その他に自己負担もある(医療保険の場合),2)特定の労働のあり方,家族の在り方に依拠している
12月13日 小沢修司「BI構想にみる『就労』と『福祉』の転換」(佐藤) ・比例課税とは?,なぜ?【宿題】
・「21世紀的な福祉国家は機能不全に陥っている」とは?
・労働力の商品化に制限とは?
11月26日 ベーシック・インカムについて(佐藤),賛成の意見(周)  
11月中 三大学合同ゼミ参加への準備
11月12日 第3章「生きていることは労働が」  
10月26日 第2章「家事労働に賃金を!」 ・前回の宿題:定義と挙例が合っていない。丁寧な説明を!
・学生賃金の主張と例えば防衛大学校学生への賃金との異同
・なぜ実際の担い手が女性中心だったか
10月19日 第1章「働かざる者,食うべからず」 ・単純なのか?(ありうべき水準や地域差など)
・単純性が高い,とは?
・給付型税額控除とは【宿題】
・ワークフェアとは、従来の施策との違い【宿題】
10月12日 打合せ

【学習の方法】
・受講のあり方
知識の修得が目的であれば講義の方が効率的です。テーマを自分の問題として考え,わからない点や疑問点は積極的に発言すること。
・予習のあり方
テキストをよく読む,わからない点はまず自分で調べる。各自(報告者は3つ以上)疑問点を用意しておく。
・復習のあり方
報告者はその回,答えられなかった質問は調べて次回以降必ず答える。

【成績評価の方法】
・成績評価基準
参加(出席,報告,司会,討論参加)とレポート
・方法
まず出席。ついでレジュメや質問への回答の丁寧さ。最後にレポート。

【テキスト】
山森亮『ベーシック・インカム入門』光文社新書

【その他】
・オフィス・アワー
月曜日7-8校時
・担当教員の専門分野
経済原論

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