市場と組織
 Markets and Hierarchies
 担当教員:安田 均(YASUDA Hitoshi)
 担当教員の所属:人文学部法経政策学科
 開講学年:3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
【授業概要】
・テーマ
内部労働市場の現状と課題
・ねらい
90年代の雇用流動化によってかつての終身雇用,年功序列型賃金は崩壊したと言われていますが,実は堅固に残っており,むしろ勤続昇給する正社員としない非正規雇用の処遇格差が一層際立つことになりました(格差社会)。しかし,処遇格差自体は内部労働市場成立の前提条件です。正社員中心の仕組みは賃金制度ばかりでなく,「もしも」の時のセーフティネットにも及んでいます。正社員中心の仕組み,内部労働市場の変化という点から資本主義の現状を分析するのが本講の狙いです。
・目標
1)正社員の賃金制度(勤続昇給)の仕組みを概観する。2)セーフティネットをいくつか取り上げ,正社員,主婦,非正規雇用等,各人の地位によってどのように扱いが異なるか,確認する。3)正社員と非正規雇用の関係がどのように変化しているか概観する。
・キーワード
内部労働市場,年功賃金,知的熟練,セーフティネット

【授業計画】
・授業の方法
パワーポイントによる講述と資料の読み取りを併用する。
前者ではパワーポイントによる解説をプリントの空欄を埋める形で要約を完成させる。後者では新聞記事等資料を読み合わせた上で,要約や疑問点を記したメモを提出してもらう。
・日程
1.賃金制度
 日米の賃金制度,昇給の仕組み
2.セーフティネット
 年金,医療保険,雇用保険
3.内部労働市場の仕組み
 雇用調整,非正規雇用,格差

No. (水)3-4 テーマ 小池の該当章   主なキーワード
1 04月14日 オリエンテーション      
2 04月21日 賃金制度   賃金制度(米) 職務給,職務分析,職務評価,先任権
3 04月28日   1 日本の賃金制度 基本給,職能給
  05月05日 休日    -
 -
4 05月12日     記事の読み取り 富士通の成果主義
5 05月19日   日本の賃金制度史 生活給(電産型賃金体系),職務給導入の挫折,職能給,成果主義
6 05月26日    6 昇給の理論 人的資本理論
7 06月02日   1 記事の読み取り 小池知的熟練論
8 06月09日    6 内部労働市場の内と外 雇用の長期化,勤続につれた昇給,企業内学校,定年制
9 06月16日 5 雇用調整 雇用調整,解雇権濫用の法理
10 06月23日 セーフティネット 社会保険 雇用保険,年金(養老保険) 
11 06月30日   社会保険 医療保険
12 07月07日   資料読み取り  パートタイム労働者と厚生年金
13 07月14日   若年層の雇用 若年層の高失業率
14 07月21日   失業救済 ベーシック・インカム
15 07月28日 自習    期末テストは実施せず読み取りで代行
【学習の方法】
・受講のあり方
まずワープロプリントの冒頭に掲示したテーマ,キーワードをチェック。解説を聴いた後,パワーポイントのスライド資料を参考に,それをまとめたワープロプリントの穴埋めをする。練習問題があれば,解いてみる。
・予習のあり方
参考文献(小池和男)に目を通す。
・復習のあり方
穴埋めに再トライして解けなければ,まずパワーポイントのスライド資料を読み直す。
深く学びたい場合には,その都度提示される参考文献に当たる。

【成績評価の方法】
・成績評価基準
オンラインテストを通して基本的用語や講義内容の理解を問い,期末テスト(論述式)では理解したことを自ら説明できるかをみる。
・方法
オンラインテスト(選択式)+新聞記事の読み取り+期末テスト(論述式)+平素の成績(若干)

【テキスト】
指定しないが,プリントに小池の対応章および関連文献を記す。

【参考書】
小池和男『仕事の経済学(第3版)』東洋経済新報社,2005年

【科目の位置付け】
経済原論に対して,段階論と現状分析に当たる。

【その他】
・オフィス・アワー
月曜日7-8校時
・担当教員の専門分野
経済原論

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