「二重の意味で自由な労働者」にいう「生産手段からの自由」とは,また商品経済の社会的全面化との関連は?(04/04/23)

  1. 「二重の意味で自由な労働者」にいう「生産手段からの自由」とは?
     この場合の自由とは’free from’(〜を免れている)であり,生産手段(土地)から引き離された,生産手段を所有しないという意味です。
  2. 生産者が生産手段から切り離されると,なぜ賃金労働者となるのか?
     封建社会の農民は土地を所有しているというより土地に付属していた(移動の自由なし)。しかし,貢納等の義務を果たしさえすれば,「何を」「どれだけ作るか」は農民たち自身で決めることができたし,人の下で働く(雇主の指揮命令に従う,解雇もされうる)必要はなかった。雨の日は休むことも可能であった(晴耕雨読の世界)。しかし,生産手段を失うと,食料を得るには商品として他人から貨幣で買うしかないものの,生産手段を有さないので製品は自分のものではないから,貨幣を得るには唯一の所有物である労働力を売るしかなくなった。
  3. 「生産手段からの自由」がなぜ商品経済の全社会化につながるのか?
     共同体経済は自給自足が基本で贅沢品のみ他の共同体から商品で買うか,戦争で略奪していた。つまり,商品経済は局地的。逆に資本主義社会では生活資料自体(と生産手段)が商品として売買されるので,非商品経済領域(自給自足,贈与,略奪)の方が社会的再生産の一部しか構成しなくなった。