研究室インタビュー(経済原論)

 以下は2008年10月6日学部HPに載せるために研究補助員のAさんから受けたインタビューをもとにしている。当時,学問内容を問われていたものの,考えがまとまらないままインタビューに応じたため,原文は受け答えがマッチせず,第三者にはわかりにくい内容になっていた。そこで,「校正」を超えて半ば「創作」した(10/03/26)。


−−−−先生は経済原論を研究していらっしゃいますが、どういう学問なのでしょうか?

安田:私が研究している経済原論というのは資本主義経済の基本的メカニズムを解明する学問です。例えばなぜ貨幣は通用するのか、景気はなぜ好況と不況を繰り返すのか、当り前のことですが根本的原因がわからないことが多いのです。
たとえば好況と不況はなぜ繰り返すかというと、好況のとき人件費などは上がりますが、やがて利益を喰って投資が立ちゆかなくなるからです。商品の売れ行きが良くて人を増やして投資を拡大するからこそ逆に利益拡大の余地が狭まるのです。


−−−−そうですね。好況だからといって賃金がいつまでも上がり続けるわけではないですね。
    経済原論を研究する上での一番の面白さは何でしょうか?

安 田:資本主義経済の発展自体に個々人の行動が深く関わっていることが浮かび上がってくる点です。好況がいつまでも続かないのは、今まで以上に多く投資してもっと儲けたいという資本家の行動であり、貨幣が通用するのは単に法律によって強制するからではなく、根本的には自分の商品をより多くの他の商品と交換したいという商品所有者たちの行動が誰からも交換に求められる商品を貨幣に押し上げるからなのです。自然法則は人々の意思や行動に関係なく貫徹しますが、経済法則は人々の行動がその意図せざる結果として人々の行動を律するというものなのです。すると、現実の経済問題(失業や格差など)の解決も、政策を外的に適用するだけでは不十分で、自分たちの行動を見直すことが不可欠となりますね。


−−−−先生が経済原論を研究をはじめた理由はなんでしょうか?

安 田:私が学生のとき、すでに学生運動は下火になっていました。また既存の社会主義諸国も経済的停滞や政治的抑圧によって魅力を失っていました。そこで資本主義経済自体に対する興味に向かったのです。


−−−−高校生に一言お願いします。

安 田:私自身高校時代は数学や化学のほうが得意でしたが、しかし所詮「良い成績が取れる」「先生に褒められる」という外在的な動機が主でした。大学の場合、成績が卒業後の進路を一義的に決定するわけではありませんから、4年間は本当に好きなことを勉強できるいいチャンスです。「本当に好きなことを探し」「取り組んでみて」はどうですか。