各位

 紀要に載せた「労働の同質性と種差性」をお届けします。

 学会誌に載せた「能力主義の理論的可能性」では原理論における能力主義の理論的可能性を考察したのに対して,価値形成労働の位置づけを「労働の同質性」という視点から探りました。

 原理論で能力主義的労働の存在が考えられるとしたら,つまり原理論では価値形成労働が唯一の存在ではないとしたら,「労働の同質性」はどのように導出されるのかという課題設定です。

 結論としては,「労働の同質性」という場合,2種類有り,「価値の同質性」に対応する「労働の同質性」は山口重克氏のいう「基準編成労働」に認められ,価値重心を規定するという意味での「労働の同質性」は,資本の効率性原則で締め上げられた「価値形成労働」に認められる。その差分が熟練労働や能力主義的労働である,というものです。

 これは,既に2008年の経済理論学会で発表した「能力主義的労働の可能性」を整理したものです。現在はこれを承けて,「生産的労働(基準編成労働)と不生産的労働との違い」,労働投入先としての「生産と消費の非対称性」という関心から論文を書き始めているところです。

 ご笑覧いただければ幸いです。

2010年02月18日


(研究室の住所) 安 田 均